TOP>トイコンサルタント
■こどもの絵っておもしろい!
子どもの絵っておもしろい!!
子どもの絵っておもしろい!!子どものお話がいっぱいあるからおもしろい!
子どもの気持ちも見えるからおもしろい!子どもの絵っておもしろい!
その中に沢山の楽しみがあるからおもしろい!今日はどんな絵をかくのかな?
こどもの発達も合わせて描画の中で大切にしてきたこと、大切にして欲しいことを取り上げたいと思いま
す。でも、紹介することは一つの目安で、それが全てではありません。(念のため) 皆さんにとって子ども
の絵を知るきっかけ、見るきっかけになったら、とても嬉しいです。
0歳児と描画
0歳代では描画をすることはありません。しかし、人として生まれて0歳代で形成される力は(0歳代でつく
力は)基礎能力になります。
大切にしたいこと
《快、不快を感じわける力》
オムツがぬれて、気持ち悪い。さっぱりして気持ちが良い。このことから始まり、子どもがこの状態は気
持ちがいい、と知ることは描画の中でも大切な事です。子どもが、心地よい状態を感じられるようにした
いものです。
《運動機能の発達》
足、腰のしっかりしていない子は描線も弱いです。描線が強いと描くことが気持ちよく楽しいものになりま
す。描画の時だけ、しっかりした線が描けるという事はなくバランスのよい歩行へつなげるためにも、沢山
ハイハイをしていく事が大切になります。散歩やデコボコ、斜面で沢山動くことを大切にしていきたいもの
です。
《言語能力の形成》
描画の中で大切な事で、子どもの絵に託したお話を聞く、ということがあります。絵に託したお話を(気持
ちを伝えることが)できるようになるためにも、0歳時期での喃語が大切になります。オムツがぬれて気持
ちが悪かった時に「オムツがぬれて気持ち悪かったね」とおとなが言葉にして子どもの気持ちをかえして
あげる。指差しをした時に「〜だね、きれいだね」と子どもの発見に対して言葉にして返してあげる事は子
どもが言葉と物を一致させるために大切な事です。
1歳児と描画
足、腰がしっかりしてきて歩行ができるようになり、両方の手が自由になるとなぐり描きがはじまります。
《トントン(点々)》
最初のなぐり描きはトントンからはじまります。肩を支点として腕を半径とした上下運動です。しかし、は
じめは余所見をしながら描きます。それが次第に手の動きと画面の点の関係(自分が手を下ろすと点が
描けた)がわかると子どもは「あっあっ!」ととても嬉しそうにします。そこから、主体的ななぐり描きがはじ
まります。
《往復》
肩をと肘を支点に腕を半径とした左右の往復運動です。はじめは上手く描けないのですが やがて、自
分の手をコントロールできるようになるときれいに画面をなめらかに描けます。そしてタテ、斜めの往復運
動になります。
《ぐるぐる丸》
往復運動の中から自然に丸が現れます。肩と肘の協応の運動になってきます。
大切にしたいこと
・1歳半のイヤイヤが見られるようになる時期、おとなの側がそれを受け止め返し、気持ちを切り替えて
いく事が大切です。
・0歳時期にもありましたが、この時期も足腰の発達が大切です。沢山戸外で遊び、足腰を丈夫にすると
同時に色々な物事に触れる事も大切にしていきたいです
・沢山描いて楽しい!と思える経験をしていく事も大切です。どの年齢にも言える事ですがいつでも描き
たいと思えるようにしていきたいものです。
2歳児と描画
2歳児期は二つの対の世界を「大きい・小さい」「長い・短い」などを理解できるようになります。また、"
食べたいけれど待つ"といった動物的要求から脱却できるようになります。この時期は「〜しなさい!」と
強制的に言われると「イヤ!」と反発しますが、「〜しようか?それとも〜しようか?」と二つの世界から一
つを子どもに自主決定させるようにもっていくと非常に素直になることが多く見られます。「ジブンデ」「ジブ
ンガ」という気持ちを大切に育ててあげることが、のちのちの「じぶんでできるもん!」という自信にもつな
がります。
《豊かなぐるぐる丸》
ぐるぐる丸を描いた子どもはそれを「おかあさん」「だんご」といった風に心の中にある大事な人や物に
みたてます。これは2歳前半からはじまる「みたて活動」です。
《止まった線・閉じた丸》
手首がしっかり動くようになると、はじめと終わりのあるとまった線や、タテの線が引けるようになりま
す。また、3歳近くになって生活への見通し、身の回りの事を自分でしようとする、手の働きを自分でコン
トールできる(目で見て、ここまできたら止める)ようになると、閉じた丸は子どもが閉じた丸が描けるよう
になります。また、足腰がしっかりしてきて両足とびができるようになるのもこの時期です。閉じた丸は子
どもにとって自分で描く初めての図形であって、「丸が描けた」ということは子どもにとって大きな喜びであ
り、「自分でできる」という自信へつながります。
《ぬりつぶし》
幅の短い往復線を重ねたような"ぬりつぶし"の表現が見られることがあります。これは、何らかの理由で
気持ちが不安定になっている子どもの内向した感情の表れといわれます。また、気持ちよく描いたはず
の絵を上からぬりつぶしてしまう事は自分に自信がないためだとも言われます。しかし、2・3歳の時期は
気持ちが揺れ動きつつ内面が育つ時期であるだけにこれらの事をただ否定的に受け止めるのではなく、
子どもの気持ちに寄り添って自我の拡大につなげられるようにしていくことが大切です。
大切にしたいこと
・描画にたいしてみたてをはじめる時期ではありますが、自らの思い(イメージ)を明確に伝えることは難し
いです。そこで、おとなの側がイメージを共感を持って受け止める事が大切です。子どもは自分の思いを
わかってもらえた(共有できた)喜びを実感する事によって、次第に思いを伝え語る力とその喜びを我が物
にしていくのです。
・子どもが「〜描いて」と言ってくることがあります。その時にそのものの形を描くのではなく、丸を描きそ
れをみたてることをおとなの側もしていくことが大切です。もし、おとながそのものの形を表現したならば、
子どもは自分は形が描けないことへのもどかしさを感じ、絵でののびのびとした表現をしなくなってしまう
かもしれません。おとなも子どもと一緒にこの時期はみたてることを大切にしていきたいものです。
3才児と描画
3才児期は二つのことが統一されて自分のものになる時期です。缶ポックリでひもをひっぱりながら前
へ進む、ケンケンやスキップができるようになる、ドアの取っ手をひねりながら前に押すこともできるよう
になります。
《ファンファーレ》
2歳児期は偶然かけた絵に対して「お母さん」「おだんご」と「みたて」ていましたが、3歳になると描きたい
ものをイメージして絵を描くようになってきます。これを「つもり」活動といいます。閉じた丸がさらに豊かに
なり、画面いっぱいにあふれその中にお話を込める時期、みたて・つもり活動がもっとも充実した姿とい
えます。閉じた丸が画面いっぱいにあふれた絵をファンファーレといいます。また、この頃から、「お母さ
んと電車に乗った」といった風に"行為を絵に描くようになります。
《ダブルファンファーレ》
つもり活動は3歳後半期にもっとも充実します。そんな中、大きい丸と小さい丸で人や物を表現するよう
になります。このように二つの世界(形成)が明確化され、表現されている絵をダブルファンファーレといい
ます。ふたつの世界の明確化は「自分と友達」「自分と周りの人」といった関係をふまえた上で自我を拡
大するこの時期の姿ともいえます。ファンファーレはごっこ遊びやルールのある遊びが楽しさがわかってく
る時期でもあります。
大切にしたいこと
・ファンファーレの現れるこの時期は生活やあそびの感動を絵で表現します。描画の基盤は生き生きとし
た生活や遊びです。
・描画と同時に大切なものとしてハサミがあげられます。左手で紙をもち右手で切り抜いていくハサミは左
右の手の協応だけでなく、目でどこまで切るかという空間の見通しをつけ、音で聞きながら切っていくとい
うように視覚・聴覚・運動感覚を統合的に発達させていく役割を果たします。
4才児と描画
4歳時期は、話し言葉の一応の確立の時期です。文法的には若干の間違いはあるものの自分の思
いを相手に伝えられるようになります。そして、友達や相手の要求もわかってくる時期でもあります。集団
で簡単な話し合いができるなど、仲間の存在に気づき仲間をくぐって自分に気づくのです。また、狭い平
均台を交互に足を出して渡れるなど色々な運動を組み合わせて遊べるようになったり、かた結びができ
るなど手指の機能も分化してきます。そんな中自分の意図したものを描いたり表現できるようになりま
す。
《頭足人》
3歳後半から4歳にかけてお日様のような図形を描いて意味づけるようになります。はじめは閉じた丸と
十字・左右・上下線を自然に描き具体的なイメージを「お日様」といった風につけていくのですが、次第に
「〜を描こう」と目的意識をもって描くようになります。上には髪の毛、左右には手、下には足が二本つくと
いった頭足人の表現になります。
《カタログ期》
この頃の子ども達の描画では色々な形を描くようにはなりますが、画面に羅列したカタログのようです。
しかし、子どもの頭の中には形と形とのつながりがあり、子どものお話の中からそのつながりをおとなは
知ることができます。ですから、子どものお話を聞き、そのつながりを知ることが大切になのです。
大切にしたいこと
・形が現れてくる時期ではありますが、大切なのは形が描けるようになることではなく形に気持ちをこめ、
形に託してお話ができるようになることです。目で見る真実よりも頭で知っている真実を描く時期(知的リ
アリズム期)は、形を描かせようとするのではなく絵に託されたお話を豊かに展開することが(形を描ける
ようになるまでの過程が)大切なのです。
・どの時期にも言えることですが、描画の基盤は豊かな経験からなります。生活や遊びが豊かであれば
あるほど子どもはそれを表現しようとします。生き生きとした生活や遊びを保障していきたいものですね。
5歳児と描画
"自ら生活を律し、自分を律することができる"ようになる5歳時期。生活を律するということは自分で自
分の生活を作ることができるようになるということです。自分を律するということは、「〜してはいけません」
という制止のコントロールが徐々にできるようになります。(それは持続的ではありません。制止のコント
ロールが完全にできるようになるのは8歳位といわれています)
この時期、大中小の三つの世界が形成されはじめ時間の流れが認識できるようになります。また、運動
機能が機敏になり柔軟性や持続性が増し、手指の機能も巧みになりちょうちょう結びや三つ編みができ
るようになります。表現活動も多目的になり、自分や友達の表現したもののよさが感じられるようになりま
す。
《レントゲン描法》
目で見えるはずのない土の中やお腹の中を描きます。
《強調表現》
もっとも心を動かされた出来事を大きく表現します。
《アミニズム》
花や草、動物等を擬人化して表現します。
《同時表現》
時間の流れに関係なく出来事を同時に描きます。
《基底線表現》
話し言葉に即して、絵で関連や状況を叙述する時期に、画面の下に引かれる一本の線(基底線)に対し
て上に太陽を描きます。それは上下・左右の空間の認識ができていることを意味します。基底線ができ
はじめて物と物、絵(形)と絵(形)の関連を表現できるようになります。基底線表現は目で見えるとおりの世
界の表現ではありません。子どもが自らの真実を画面の上にまとめあげて語るために設定した舞台装置
です。
《展開表現》
基底線が四辺になって人物などが四方に倒れたように描かれているものです。
大切にしたいこと
・描画活動は単に絵を描く活動だけではなく感情と言葉を合わせ含んだか活動であります。子どもにとっ
て、形を表現することと合わせて絵についてお話することの両方で伝える力と自信がつきます。また、お
となが子どもの言葉に共感を持って受け止めることが、子どもの感情をより育てることになり、さらに話し
言葉のそのもの(認識)が絵をより豊かにしていきます。幼児にとって絵は生きた具体的な言葉です。豊
かな話し言葉とあわせて、文字よりまず具体的な生きた言葉としての絵でお話することが大切です。
大切にしていきたいこと、したいこと
描きたいことを自由に描かせよう(自由なイメージの展開を)
幼児にとって、絵とは具体的な言葉です。形の上手い下手ではなく、心の中の一番大切な事をいきいき
とお話できる事を大切にしてあげたいものです。描画は保育室の中や課題の中でだけではなく遊びの中
や道端などどこででも展開されるものです。生活や遊びの中の造形活動の芽を大事にするためにも、描
きたい時に描かせてあげられるように十分保障してあげましょう。胸の思いを常に具体的な言葉で語るこ
との蓄積がイメージの表現の豊かさを生み出す基盤になっていきます。
よい文化に出会わせよう(お話のイメージを)
子ども達が豊かに成長・発達していくためにも生活・遊びを充実させていくことと合わせて、よい文化に積
極的に出会わせていくこと、そして、それらを常に表現活動と結合させていくことが大切です。
自由なイメージを展開していく事を基盤にしながら、何か適切なテーマを与えイメージを展開し表現して
いく事も大切です。
生活に目と心をむけて(生活のイメージを)
テレビの映像だけに心を動かす子どもではなく、自らの生活に目を向け心を動かし表現する子どもであっ
てほしいものです。自由に描く場合でも生活の感動を語る子どもになってほしいと願います。そのために
も、生活に目と心を向けて、豊かに子どもとのかかわりをもつことが大切です。
豊かなイメージと表現の基盤とは
豊かなイメージと表現のためには、まず生活が生き生きしている事が求められます。「こうだよ」「こんな
風だったよ」と伝えたい思いであふれるような生活が大切です。同時に自分が経験したり、出会った事に
対して心を動かし、豊かに感じられるようなみずみずしい感性が求められます。豊かな感性は思い(イメ
ージ)を表現する事によって育っていくものです。日常の園や家庭・地域えの生活・遊びの豊かさが、豊か
な表現の土台になります。しかし、豊かに感じるという事は、決して傍観者的に目で"ながめて"感じる事
ではなく、自然や仲間と全身(全ての感覚や全身の動き、リズム)で渡り合う事を通して感じる事なので
す。
手や全身を働かせて仲間と遊びこみ、しゃべりこむ子どもを育てる事、思いのあふれる生活こそ豊かな
表現の基盤です。そして豊かな生活を豊かな表現につなげるには、日常の伝え合いの豊かさ・共感しあ
う関係の豊かさが求められます。
描画材料と色について
描画材料は年齢や表現の内容やねらいに応じて最も適切なものを選ぶ事が大切だと思います。
生活や遊びの中で多くの色に出会わせることは大切です。特に0〜3歳期は多くの色を使います。保育
園では0〜2歳児まではプチマジーという持つ部分が丸くなって握りやすい水性のマジックを使用していま
す。何種類かの色から、色遊びにならないように自由に一本選ばせるようにしています。(一枚の画面に
描く色は一色です)3・4歳児は握りやすい太さのある水性マジックを使用しています。
5歳児は線描の中に感情を込め、胸の思いを豊かに語りきらせ、イメージを細かく表現できるように細書
きのフェルトペンを使用しています。また、5歳後半には絵の具を使い、色のイメージを膨らませていきま
す。
紙については要求に応じて描きたいだけ描かせるという事や腕を思い切り動かして豊かに表現させた
いということから四つ切りの中質紙を用意したり、0・1歳児ではポスターの裏を使っています。
Copyright (C)2006 YUMEYA All Rights Reserved.